東京争議団ニュース第151号/2003年8月9日


「懲戒解雇処分」は無効地労委も命令
ネッスル日本労組争議団


解雇撤回を求める左より小山さん、栗村さん、富田さん

 スイス100%資本のネスレ社(本社茨城)で起きた暴力でっち上げによる組合役員を狙い撃ちした「懲戒解雇」事件は、昨年10月水戸地裁において、暴力事件そのものの信用性がないとした上でネッスル日本労働組合霞ヶ浦支部の富田・栗村両氏の解雇処分と給与の支払いを命じる判決が下されました。
 さらに、6月26日には、茨城地労委からも「救済命令」が交付されました。地労委は命令で、
(1)事件発生とされる日(93年10月)から処分までの経過に不自然・不合理な点がある。(2)怪我をしたとする職制の証言には信用性がない。(3)懲戒処分を口実に富田書記長・栗村副委員長(ともに当時)の組合活動を牽制する目的があった、とし、ネスレ社による組合つぶしを狙っての不当な労務政策こそが事件の原因であったことを明確に認定しました。華麗なCMの裏で行われている陰湿な組合つぶしの実態が浮き彫りになりました。地裁判決・地労委命令により、同じ組合つぶし目的で退職強要された小山和芳さんは、「汚名も早期に回復され、3人で職場復帰できる日が来ると信じています」と語っています。


ニッチツと和解成立-秩父じん肺-
全国じん肺争議団


長崎現調の井上・宮川・藤井・佐藤・近藤・佐藤夫人

 7月28日、高裁第四民事部で、被告企業五社のうち、潟jッチツと第一陣(最高裁)、第二陣(高裁)、第三陣(さいたま地裁熊谷支部)で係争中のすべての原告との和解が成立しました。92年10月提訴の一陣から三陣まで全ての裁判で裁判所が和解を提起。これをニッチツは頑なに拒んできました。昨年秋から原告団と支援連は、ニッチツ副社長宅への要請や、社長、副社長宛要請ハガキなどによって追い込み、和解成立にこぎつけました。なお、ニッチツは和解文書とは別に「弔意と見舞」の意思表示をすることになっています。
 秩父じん肺訴訟は、第一陣の判決(さいたま地裁熊谷支部)で、死亡した原告の時効は、死亡時から改めて起算するという判断を引き出しました。この「死亡時別途起算点論」は高裁でも、また筑豊じん肺の福岡高裁判決でも引き継がせています。


年内判決・年度内全面解決へ
国金発展会争議団


年内判決に向けいよいよ正念場を迎える国民金融公庫発展会の仲間

7月16日(水)東京高裁101号大法廷で最終弁論が行われました。折角駆けつけていただきましたが、傍聴席が満席になり31名の方が入場できませんでした。この紙上をお借りしてお詫び申し上げます。
 当日は、国金発展会を代表して玉那覇光男(大阪)が口頭陳述するということもあって、大阪から夜行バスで20名を超える支援者がかけつけてくれ、この支援者を中心にして国金本店前での早朝宣伝を賑やかに行いこの日のスタートとなりました。
 裁判そのものは、玉那覇の代表陳述、代理人を代表して松井弁護士の弁論、その後相手方代理人の弁論があり、最後に裁判長の弁論終結宣言が行われました。判決日は追って通知(1か月前に知らせる)ということになりました。
午後5時から農水省の地下食堂で、結審報告・交流集会(70名参加)が催され、ここには、本裁判において、国金の人事考課制度について鑑定書を作成していただいた明治大学の遠藤教授も駆けつけていただき、又、佐々木憲昭国会議員からのメッセージも寄せられ活気に溢れた集会となりました。
 最後に、吉兼会長は代表して、これで裁判が終わったわけではない、これから判決が出されるまでが勝負、毎水曜日の高裁前ビラ宣伝と1万団体署名は断固やり抜くと決意を表明しました。


都教委による教員再雇用拒否事件
事実誤認だらけで敗訴

田畑真相解明争議団

 7月30日、東京地裁山口幸雄裁判長は元豊島区立千川中学教諭田畑和子さんが96年再雇用拒否を受け、98年提訴した裁判で、「棄却」と判決しました。
 判決では、「中神校長の証言に照らし原告の証言は採用できない」という文言が見られ、最終的に都教委が再雇用拒否理由から省いた、正当な手続きによる「年次有給休暇」問題すら、再雇用拒否の理由になりうるとした点で、山口裁判長の労働部部長としての資質が問われるものです。原告側の事実に基づく証拠や証言を一切無視した上で、校長の証言のみを採用し、「勤務成績不良」「不健康」「意欲不足」との認定は到底受け入れがたいものであり、真相を究明する会は控訴して闘うことを決定しました。


8・6都労委が不当命令
労働委員会の使命なげすて

東京商科争議団


命令交付後(左斎藤弁護士・右今井先生)

 98年10月に起きた専門学校売買に伴う、教職員組合員である今井先生に対する不採用事件の救済を求めていた闘いで、03年8月6日に都労委から不当にも「申立てを棄却する」命令が出されました。
 国鉄民営化の手法を真似たこの採用差別事件は、1999年1月に申立をして以来、4年6ヶ月を経た都労委の結論は、新旧両法人との間には、「実質的同一性は認められず」、旧法人の「教職員をそのまま継承する旨の合意の成立も黄犬契約類似の事情も認め」られず、「今井の不採用が実質的に解雇に相当するとは解されず、組合員に対する不利益扱い及び組合に対する支配介入とはいえない」として、組合の主張をいずれも退けました。
 学園側は、国鉄民営化と同様な事件であり、国鉄採用差別事件はいずれも司法において労働委員会命令が取り消されているのであるから、労働委員会において審問する価値もないという主張をするくらい、国鉄採用差別事件と類似していました。
 しかし、都労委の事実把握は、学園の主張を裏付けるものだけであり、労働者救済を目的とした行政機関の責務を全く果たさないばかりか、このような不当命令がなんらの躊躇もなく出されるならば、争議解決から労働者をいたずらに遠ざけてしまうものであり、到底許されません。
 この不当命令に対し都労委に断固抗議していくとともに、中労委に再審査の申立を行い、都労委命令の不当性を明らかにしていきます。と同時に、さいたま地裁で闘われている雇用関係確認訴訟で、勝訴するために全力をあげて取り組みます。今後のご支援をよろしくお願いします。


明乳事件の原告反対尋問
不当労働行為がより鮮明に

明治乳業争議団

 7月28日、東京地裁で明乳不当労働行為事件の原告主尋問(7月3日)に対する反対尋問が行われた。焦点は、
深刻な賃金・職分格差の原因は新制度
への移行試験不受験ではなく、「会社
育成のインフォーマル組織か、原告らの集団か、どちらの集団に帰属したか」という、原告3証人で鮮明にした事件の全体像に対するもの。しかし、6時間に及ぶ反対尋問は、「主尋問の幹の部分には反撃できず、枝葉を切ったり、小股すくい的なもの」(弁護団談)に終始。又、菊池証人への尋問では、書証の捏造が暴露され、傍聴席からも抗議の声が上がり、裁判長も「これは違いますね」と指摘する等の一幕もあり、反対尋問を通しても不当労働行為の事実が鮮明になった。会社は2名の証人(6時間)を申請。10月(6日、27日)に各6時間の主反を行い、12月22日には大法廷(103)で最終弁論を行い結審。いよいよ年内に全面解決へのレールを敷く重要局面を迎え、地裁への団体署名など全力で奮闘中。


東京地裁「行政訴訟」いよいよ証人尋問
大量傍聴参加を

関西航業争議団

 東京地裁に中労委の不当命令の取り下げを求めた「行政訴訟」は、6月30日の進行協議において、村中さん(全日空乗員組合・航空連副議長)・川口さん(元大阪空港事業・管理職)2名の証人が採用されました。
証人尋問は、9月22日(村中さん主・反対尋問、10時〜16時30分、103大法廷)9月29日(川口さん主・反対尋問、13時30分〜16時、103大法廷)の集中審議となっており、形式的な審議に終わらせないために、103大法廷を一杯にする必要があります。関西航業争議団は、残り5名の証人と伊丹空港現地検証を採用させるため、9月22日から29日まで連日東京地裁前ビラを行います。
関西航業争議を支援する全国連絡会は、直接全日空に解決を迫るため全日空本社を攻める運動の組み立てを行っています。@関西航業争議の闘いの意義と運動を広めるシンポジュームの開催。A全日空本社に解決を迫る大行動(座り込み・デモ)。運動の提起に付いては、9月29日東京地裁・終了後の決起集会(弁護士会館予定)で行います。裁判傍聴と合せ決起集会へのご参加をお願いいたします。


新たなリストラ争議解決と運動を強化
凸版印刷争議団


8/1凸版印刷株主総会での本社前宣伝

 凸版印刷は、本体と子会社の統廃合などグループ内の組織再編、人員「最適化」を加速し始めています。とりわけ、派遣会社THIS(トッパン・ヒューマン・インフォメーション・サービス)への大規模な転籍は職場に大きな不安と怒りを呼び起こしています。また、住宅手当など5項目にわたる諸手当の廃止及び見直しを提案してきました。大幅なコスト削減を狙うものです。
 私たちは、このようなリストラ「合理化」をストップすることを呼びかけ、8月1日、THISの入社式にあわせ、本社前で宣伝行動をしました。受け取りがよく、東京争議団からの応援も含め22名で850枚を配布しました。
 凸版印刷争議は、7月18日の調査で、和解の予備交渉を継続していくことになりました。リストラ反対と組織拡大をめざす運動とあわせ、争議の早期解決へ諸行動を強める方針です。


7・11集会・団結祭り絵画展の成功をバネに
全動労争議団

 7月11日、東京千代田区九段会館において「共同の力で勝利を!JR17年の検証、7・11国鉄集会」を開催しました。この集会は、全労連国鉄闘争本部・首都圏国鉄共闘・建交労鉄道本部が主催して開催され、七〇〇名の参加で成功しました。
 この集会は、国鉄合唱団の「俺たちのシルクロード」で始まり、年老いた母親とJRから解雇され争議団となってたたかっている若い国鉄労働者との会話を中心とした劇と国鉄合唱団の歌声で構成され、国鉄の土地を格安で手に入れた駅前の一等地を大企業に売却し、JRがホテルやコンビニ、劇場、保育所にまで手を広げ、儲けをほしいままに貪っている一方で、JR労働者への「リストラ」攻撃、長時間過密労働を押し付け、鉄道輸送としての命とも言われている安全を疎かにしている実態、また、ローカル線切り捨てを強行された地域での過疎化の深刻さをわかりやすく告発しました。
 この集会の30名を越える参加者から「感動した」「元気をもらった」など感想が寄せられ、1万円のカンパとともに感想文を寄せてくれた参加者もいました。感想文の一部を紹介します。
○ 生協労連東京地区大学生協労働組合協議会からの参加者の感想
 構成劇が感動的でした。眞冶・母親役の二人は素人ばなれしていますね。JRの現在ある問題点も指摘していてよく理解できました。
 国是だから何をしてもいいというのは、あちこちに広がっているようで危機感をもたざるをえません。他人事ではないということを多くの人に知らせていきたいと思っています。


裁判闘争を闘う争議団交流集会

(目的)裁判所の不当判決を許さず人権に貫かれた裁判所にするため労働・人権・環境・戦後補償・憲法・消費者裁判の原告・支援者が垣根を越えて集合。知恵を出し合い勝利判決を勝ち取るための論議と交流を開始しよう!
(日時)8月29日(金)午後1時〜31日(日)12時まで
1日目「労働組合に問われること」(安田浩一氏)
2日目コダマ雄二(ハンセン病原告・西順司(大気汚染原告)
3日目「裁判所を監視する」(池添徳昭氏)他
(場所)日本電気協会・裾野研修センター
(参加費)2泊3日で1万5千円、1泊2日で8千円
(呼びかけ)首切り自由は許さない!
事務局(国労闘争団・全動労争議団・関西航業争議団・出版争議団・東京争議団・けんり総行動)


東京争議団サマーレク
<日時・集合>8月23日(土)
 9:00新宿駅西口交番前集合〜8月24日(日)18時頃帰京
猪苗代・磐梯高原コテージでリラックス
温泉と星・岩魚釣り散策
美味そば食べ放題
 若干名の余裕有り至急申込を


====東京争議団予定===

2003年
9月
 9日18:00事務局会議(東京地評5F)
13日10:00三役会議(東京地評5F)
    13:00全体会議(東京地評B1会議室)


   =====諸行動予定=====

八月
一八17:30 関西航業成田空港第2ターミナル・京成駅前宣伝
一九18:30じん肺東京支援連(弁連事務局)
二〇08:30国金発展会高裁前宣伝
二一08:00全動労他最高裁前宣伝
   16:00雪食争議支援対策会議(地評5階)
二三〜二四東京争議団サマーレク(会津磐梯山麓)
二四13:00じん肺キャラバン実行委(中大記念)
二五08:30関西航業「汐留」駅頭宣伝
   14:30秩父じん肺和解協議(高裁16階)
二六10:00全労連総行動事務局(全労連)
   18:30全労連総行動実行委
二七08:00全動労他最高裁前宣伝
   08:00雪印食品一般労組JR四谷駅朝宣伝
   08:30国金発展会高裁前宣伝
二九08:30東京商科共立メンテ宣伝(神田明神)
   16:00鶴川都労委
二九〜三一裁判闘争交流合宿(日本電気協会裾野研修所)
三〇11:00帝京5校連絡会(私教連)〜三一
 九月
〇一08:00全動労1の日宣伝(新宿駅南口)
   08:30明治乳業地裁前宣伝
   08:30全動労国土交通省前宣伝
   13:15雪印食品一般労組札幌地裁
   13:30仲立証券地裁(722号)
〇三08:00全動労他最高裁前宣伝
   08:30国金発展会高裁前宣伝
〇四07:30凸版板橋・朝霞工場前宣伝
   08:00凸版本社・小石川ビル宣伝
   13:30凸版製本都労委審問
   16:00さいたま地裁審尋
   17:00メレス本社前抗議要請
   18:30東京商科対策会議(私教連)
   18:30メレス総決起集会(渋谷勤福第2洋室)
〇六10:00メレス社長宅前宣伝行動(西大井)
〇七12:00雪印まつり(雪食越谷事務所)
〇八08:30明治乳業地裁前宣伝
〇九08:20メレス本社前宣伝行動
一〇08:00全動労メレス他最高裁前宣伝
   08:30国金発展会高裁前宣伝
   18:30裁判所包囲実行委(飯田橋シニア)
一一08:15地裁・高裁前共同宣伝
   09:30全労連総行動第一次オルグ(全労連)
   18:30裁判所労働委員会対策会議(地評5F)
一三11:00関西航業羽田空港宣伝1階
一五08:30明治乳業地裁前宣伝
一六〜10月24日までじん肺全国キャラバン
一七08:30国金発展会高裁前宣伝
一八08:00全動労メレスじん肺最高裁前宣伝
     雪食一般労組臨時大会(越谷事務所)
一九08:30 関西航業「汐留」駅頭宣伝
   12:15雪印昼休み包囲総行動
二〇10:00メレス社長宅前宣伝行動(西大井)
二二08:30 関西航業・明治乳業東京地裁前ビラ
   10:00関西航業東京地裁(103号)
二四08:00全動労他最高裁前宣伝
   08:30国金発展会高裁前宣伝
   08:30 関西航業東京地裁前ビラ
   10:00東京商科さいたま地裁
   10:00東都タクシー都労委調査
二五08:30 関西航業 東京地裁前ビラ
   18:30裁判所包囲実行委(飯田橋シニア)
二六08:20メレス本社前宣伝行動
   08:30 関西航業東京地裁前ビラ
二九08:30 関西航業・明治乳業東京地裁前ビラ
   13:30関西航業東京地裁(103号)

一〇月
〇一07:30凸版板橋・朝霞工場前宣伝
   08:00凸版本社・小石川ビル宣伝
   08:00全動労他最高裁前宣伝
   08:00全動労1の日宣伝(新宿駅南口)
   08:30全動労国土交通省前宣伝
   10:00凸版印刷都労委調査
   13:30全信不動産・木村高裁(809号)
〇六08:30明治乳業地裁前宣伝
   16:00鶴川高校都労委
〇七08:20メレス本社前宣伝行動
〇九09:30全労連総行動二次オルグ(全労連)
一一10:00メレス社長宅前宣伝行動(西大井)
一六 一日 最高裁前一日抗議行動(予)
二三17:00全労連総行動事務局会議(全労連) 
   18:30全労連総行動コース責任者会議(同)
二四 一日 全労連総行動(予)


各争議組合、争議団の近況報告

▼凸版印刷労組争議団 
9月4日、凸版製本都労委審問への傍聴、早朝宣伝へのご協力を
▼帝京八王子教職組・三好解雇争議
7月22日都労委結審し和解継続か命令交付か岐路。
▼全動労争議団
6月20日、ILOから解雇争議の早期解決を求める5度目の「勧告・報告」が出され、この「勧告」を力に最高裁から公正判決を勝ち取る決意です。
▼NTT関連合同分会木下解雇争議
6月13日組合事務所(豊島区南長崎2−3−20NTT落合ビル本館3F)開きに83名が参加、盛況でした。
▼国民金融公庫発展会
7月16日に高裁結審。判決日は追って指定。年内に勝利判決を勝ち取るべく運動を。
▼明治乳業争議団
地裁年内結審の予定が確定し、自前の宣伝カーも確保してなんとしても全面解決への突破口をつくる決意で奮闘中。
▼東都タクシー野中さんの嘱託雇用を勝ちとる会
次回9月24日午後2時から都労委調査で解決を迫る。
▼東戸山小・谷本争議
10月1日16:45〜710法廷で結審。多くの傍聴を。
▼田畑さんの再雇用拒否真相を解明する会
7月30日不当判決に控訴して闘います。
▼関西航業争議団
8月の定例宣伝は、18日成田空港ターミナル宣伝。25日JR新橋汐留宣伝を行います。
▼ヒルトンホテル争議団
最高裁宛団体署名よろしくお願いします。
▼東京商科今井争議団
都労委不当命令を糾弾する。さいたま地裁が9月24日(水)午前10時。是非傍聴をお願いします。
▼雪印食品一般労働組合 
争議解決の決断を迫る総行動成功と争議団員と家族を励ます「雪印まつり」9月7日12:00より(越谷組合事務所)
▼ネスレ労組
5月30日茨城地労委は、富田・栗村両氏の解雇は不当労働行為で原職復帰の命令を交付しました。


「食のモラル」を問うパンフレット

 現在多くの日本人が関心を持っている「食の安全」について画期的な本が出版されました。全労連と明治乳業、ネッスル日本労組、雪印食品一般労組の食品3争議団が共催で、02年10月、東京科学技術館で開催した「食の安全、信頼と職場の民主主義を考えるシンポジウム」の報告集として、7月に『食の安全と企業のモラル』を出版しました。今、日本の食はどうなっているのでしょうか。食品の安全問題といえば、50年代・60年代は食品添加物が、80年代に入り残留農薬が問題になり、90年代は0157遺伝子組み替え食品、ダイオキシン、現代は牛肉のBSEなどが問題になってきています。このシンポジウムは、全国食健連坂口政明事務局長がコーディネーターになり、専門家四人の皆さんがパネリストとして問題の提起をしています。
 農民連食品分析センター所長の石黒昌孝さんは「輸入野菜は農薬汚染のものばかり、加工食品は残留農薬漬けになっているのに、この改善を厚生労働省に言っても、加工食品は基準がない」ということで問題にすらなっていない現状を告発しています。日本消費者連盟代表運営委員の富山洋子さんは「食品自給率が27%、カロリーベースで40%、こうした日本の現状を改め農作物を作っている人の顔の見える地元で生産し、地元で消費する「地産地消」に切り替えること」を呼びかけています。
 横浜国立大学大学院の田代洋一教授は「食のグローバル化が食の安全を脅かす背景にあるとして、輸入食品自由化と企業による競争原理が原因で、安ければなんでもよしの風潮では食の安全は守れない」と訴えています。
 全労連の西川副議長は「明治・ネッスル・雪印といずれも職場内で、労働者が自由に発言すると差別されたり、解雇されたりの歪んだ労務政策がある、と指摘し自由に声をあげたら差別される職場では、安全な食品など作れない」と分析しました。ルポライター鎌田慧さんも推薦の言葉で「職場に、発言の自由なくして、どうして、人間の心と体をつくる、食品の安全をまもれるでしょうか。職場に、労働者の自由なくして、美味しい食品がつくられるなど、とても信じられません。」と述べています。
 組合活動家というだけで賃金差別を続け、争議団結成から18年間闘い続ける明治乳業争議団、日本の法律を守らず組合間差別を続け組合員を不当解雇する会社と闘うネッスル日本労働組合、牛肉偽装で会社解散全員解雇の攻撃に親会社雪印乳業に解雇撤回を求めて闘う雪印食品一般労組。
 私たち食品3争議団は、こうした日本の食が危ない現状をパンフレットの大量販売で国民に訴え、知ってもらい、そのことが争議を早期に勝利解決できる近道であるとの立場で活動しています。ぜひとも皆さんお読みいただき、普及してください、一冊300円で好評発売中です。


雪食の注目デユオ「スノークリスタル


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